呟きたい

主にタイトルが示していることをしたい。色々妄想しながら、ここに自分が考えてることをぶち込めたい。よろしく

オンラインショッピング

今日、多少あたまにきた出来事について語ろう。


約一か月半前にイギリスで緊急事態宣言が出された。そのため、大学生の俺は家族と一緒に毎日を過ごすことになる。家族の事情によって、我が家は通常の家族よりこの緊急事態を真剣に扱わなければならなかった。だから外に出ない生活を続けていたのだ。昨年のコロナ対策とさほど変わらないものだから慣れたものだけど、背中が痒いぐらいの不機嫌な状態だった。


我が家は外出を防ぐためにオンラインショッピングをはじめ、毎週イギリスのスーパー会社のロゴを張り付けている小型トラックが僕たちの玄関の前に食品を送ることになった。中途半端な形状をしたトラックが我が家に登場する前に、ほしい食材を選択しなければならない。そのために使っているアプリがあり、どうしてだか母のアカウントで食品を選択している。買ったものを郵送してくれる日にちは事前に決まられており、その前に買いたいものを選択しなくてはならないのだ。このルーティーンはもう習慣になっており、俺は毎週自分の欲望を警戒しながら食物を選んでいる。


今日もその無難な習慣を悠長に行おうとした。居間に置いてある家族用のパソコンで俺は通称A会社のサイトに母のアカウントを通してログインしようとする。通常はパソコンが事前に我が家が使用しているサイトのログイン情報を記録されたものを自動的に入力するものだが、今日は入力完了しても大袈裟な赤文字で、「ユーザーネームとパスワードが異なります。正確であるログイン情報を入力してください。」と表示されていた。俺はその字に愕然とした。


一瞬戸惑ったが、また自動入力の機能を使ってA会社のサイトのアクセスを要求することにする。でも、当然それは拒否された。俺は当然なことに驚愕して悩み始める。次のするべき行動は?それは神も多分知ることはあるまいのだ。とりあえず母のパスワードを脳内から絞り出してみた。


母の名前と誕生日。


ユーザーネームとパスワードが異なります。正確であるログイン情報を入力してください。


順番を逆にしてみる。


ユーザーネームとパスワードが異なります。正確であるログイン情報を入力してください。


舌を打つ。姓名の一文字目を大文字にしてみた。


ユーザーネームとパスワードが異なります。正確であるログイン情報を入力してください。


また順番を変える。


ユーザーネームとパスワードが異なります。正確であるログイン情報を入力してください。残念ながら入力の過ち回数が制限を超えました。アカウントをブロックします。


うん?なんか異変があるぞ。俺はその文字を詳しく読んで、確かめるためにまた二、三回読みなおした。頭の中ではその文章が変わってくれるのを祈っていたが、それは暴走している念願であるのは当たり前で、自分を絶望に覆わせるしかない。慌てて次の行動を考え始める。でも何も思いつかない。答えを求めたくて隣で健やかに寝ている猫をじっと見つめる。だが、答案は提出されない。こういう困っている時、とるべき行動は一つに限られている。


それは父親に頼るしかない。


俺はとっさに二階へ上っていく。いやなことにお父さんは仕事で忙しく機嫌はよくなさそうだ。
「A会社のウェブサイトからブロックされた。」と、気軽に伝えようとする。だが、彼の返答は予想している態度とは少し違った。
「お前は何を言ってるんだ!」と怒鳴れた。彼の顔はこの世に存在しない悪魔の顔よりも怒りが増していた。沈黙が二階を襲う。約二分だろうか?それは大袈裟だ。実際は一、二秒だった。でも妙に長く感じる。彼は「信じられない」と口の下で呟きながら俺の横を通り過ぎて下へ降りて行った。


僕は今起こったことに唖然としている。迷走している。自分が行ってしまった罪。それはなんだったのだろうか?それは多少おこるとは思う。仕事で夢中な時、自分の息子が気軽にやってきて、「ブロックされた」とか言われてそれは不機嫌になるだろう。でも、どうしてそこまで怒る必要があるんだ?怒鳴るまでだぞ?理解できない。少し頭に血が上ってきた。父親の部屋の外で長い時間が立っていた。ただただ、だれが正解者なのかを頭の中で議論しあっていた。


自分はこのぐらいの怒りを感じてもよいのだろうか?父も仕事で苦労をしているわけだし、今の家族状態では心が不安定なはず。だからあんなに怒鳴られてもしょうがないことだ。でも確かに俺は感じたのだ、怒りを。その感情を切り捨てて生きていくのは合理的ではない。自分に嘘をつくことになる。仮に俺が怒りを抱いていることを認めるとしよう。それを元にどう行動をとるつもりだ?父さんの前に走り出て怒鳴り返すのか?それは禁止行動だ。事態を悪化するだけでなんの解決には至らない。どうすればいいのだろうか?


こうして、俺は段々と自分の優柔不断さに怒り始めてきた。頭の中で考えるばかりなら何の解決にはならない。こういう時は本心で動くべきなのだ。考えず、率直に返答する。それが一番有利で面倒な状況を避けることができる。そう自分に何回も言い聞かせるのだが、ついつい行動に困っているときは考え込むことが習慣になっているそうだ。


気が付くと、お父さんが階段を上ってきていた。
「アカウントのパスワードをリセットしておいたよ。またアカウントを使えるようになった。」
意外と速やかに解決したもんだ。

二人の妄想

彼女はそこに着席していた。紫のペチュニアがぽちぽちと散らばっているカシュクールワンピースの上には鋭い顎、わずかに黒くくすんでいる目下と少し荒れたボブカット。右ひざを左ひざの上にのせていて、前にあるカウンターに肘をかけている状態だった。彼女は都会のどこにでもいる、輝いている女性に見えたが多少ファッションに反抗を感じられた。「自分は社会によってこの衣装を選んでいるんで、」と言いたがっているような有様だった。


彼はそこに座っていた。さわやかな白ティーシャツの上に旧式な緑のジャケットを装飾していた。レトロな風景を描きたかったのだろうか?下にはベージュ色のズボンと上半身に使用している色を取り込んでいる靴と靴下コンボ。決して気軽に決めた服層ではない。彼は堂々と向こう側に座っていた。ハイスツールの足置きに力強く靴をねじり押しており、姿勢よく自分の一献に手を出している。顔は決してイケメンではなかった。でもその瞳にはくっきりと根性がさまよっていた。


彼女とは今夜存分に楽しまれた地下ライブで出会った。会場に入ったときにはもうすでに多くの人が潜んでいた。十人十色というが、暗い空間と煤煙の汚れを取り消したような煙のせいでここは十人一色に見えた。前にぎっしりと人が詰まっていたせいで、俺は後ろ壁にしょうがなく腰を掛けることにした。ここからはステージの様子はあいまいに見えるのだが、壁から伝わる振動を楽しめるので苦ではなかった。今日は混んでいたから他人の汗がシャツにしみこまない後ろのほうが僕には有利に感じた。ライブでは人気をよけたいものだが、そう簡単ではなかった。


彼は突然と私の横に腰を休ませた。他人から逃げたくてここに来たのだから、少し落胆とした。彼が俯いているので、私に気づくのに少し間があった。初めに私のスニーカーに気づき、次に見たのは私の目。恥ずかしかったのか率直に目を顔から下にそらした。そしてすぐに視線が私の胸にあたった。彼はまたもや恥をかかし、私に後頭部を見せた。胸が大きいので十分慣れているのだから、男からの胸に当たる視線は気づかなくなっている。だから彼の顔面が紅潮したら私のほうが混乱することになる。どうしてほほを赤く染めているのか無意識に疑問しちゃう。だが、そうつべこべ考える時間もなくなるようだった。ライブが始まるところだった。


よりによって女とは。女性と触れ合うときには毎回自分に恥をかかしている。それは、自ら瞳の視線が大きい胸に付着したり、会話が成り立たず沈黙に至ったり、いろいろ嫌な思いをするわけだ。でも、彼女に見せる恥はこの一瞬でしかないのである。なぜなら、俺がこの一週間の間で溌剌としていた理由の真相が目の前に広がる芸の戦場にインディーロックを披露させてくれるんだからね。恥をかかすようなことをしても、音楽に無我夢中なら俺はその感情に気づくことはないだろう。期待に応えて、消える光はさっきまで小話をしていたオーディエンスたちを暗黙にさせた。


左右から重々とした足音。かちゃっ、ピー、と耳障りな機械音。そして静かに咳を小口から発する観客、あるいはバンドメンバー。何も見えないせいか、様々な雑音が小さい地下ライブ場を掩蓋して誇張して聞こえる。突然、何もかも静かになる。「三、二、一」と拍子に乗って劇場の奥からほのかに聞こえた。爆音。閃光。激しいギター音とドラムの短音。瞬間的に川が溢水するように感覚があふれた。徐々にその光景に慣れていく。軽い脚の持ち主のギターリストは三色の光を浴びながら高音をマイクに吹き出していた。その後ろには、地震を起こそうとしているかのように両腕を飛躍的に振り回しているドラマー。その左には、冷然とリズムに乗っているベース。そして右には、聴衆者に采配を振るかのようにリードを担当している二番目のギターリスト。皆、黄色い衣装を着ている。たぶん「辛子」になりきっているのだ。私にとってはこのバンドは初耳だ。


「カラシ」は協同しながら張り合って演奏をしている。そこからはっきりと届く音楽は俺の耳奥に砂に沈む海波のようにしみ込んでいく。俺は目を閉じて背後から伝わってくるドクンドクンというベースドラムと、足の裏に届く、踊り暴れている聴衆者たちの振動を味わう。このコンサートのために何度も聞いてきた曲だから、脳内が幸福感に洗脳されている。今はこの時間を楽しむしかない。横を振り向くと彼女は生き生きと頭を上下に振っている。それに沿って、彼女のワンピースはまるで夏風に当たる木の葉のように揺れていた。ペチュニアのパターンを観察するのに悠長しすぎたのか、彼女が俺の視線に気づき、こっちを多少警戒しながら振り向いた。この動作で俺は我に戻った。俺は苦笑いをして音楽に沿って手足を動きながら、彼女に恐縮な気持ちを伝えようとする。頭を五回ぐらい下したあと彼女の表情を探ると、彼女が笑っているところが見えた。その笑いに安堵を感じ、また正面に立つ芸人たちに集中を向けようとした。


彼はそのあと何回か私に目をそらしてきた。それはたぶん無意識で、私も無意識に彼の目を探り始めているのに気づいた。私は彼に興味を抱いているのか疑問し始める。仮に彼に興味を持ってもそれは悪いことではなく、むしろ三年間も恋愛不足をしていた私にとっては非常に良いことだ。でも心の奥のどこかでは恋への志が不十分な気がした。もしかして私が垂涎するものだからこそ、疑問が現れるのかもしれない。自分の恋の事情に忘我する間、彼は私にちらりちらりと横目を見せびらかしていた。その瞳は興味津々であった。彼の姿を観察してみると、体の動きがまぶしく、愉悦に満ちているように見えた。その幸せにつられるように、私は思わず微笑みだす。


彼女が笑った!この笑みの動機に脳が素早く回転し始める。俺のダンスが目障りだからか?いや、その口の端の上げ方はもっと軽やかだった。俺がついつい彼女の方向に視線を向けているのに気づいて、その習慣を俺に気づかせるためか?いや、その微笑は誰かもが温もりと窈窕たるものを感じるようなものだった。もしかすると俺と関係のない妄想、あるいは古い思い出を思い浮かべているのであろうか?だとしたら、あの穏やかな顔はどうして我を拝見した後にその逡巡なく笑みを浮かべたのだろう。彼女の表情を読唇術で読み取ろうとしている間、ハードロックをガンガン鳴らすライブが認識すべもなく間のあいだに終了していた。聴衆者の口ごもりとともに出てくる俺は、彼女となるべく距離を縮めながら外の空気を吸いに行く。階段の最上階に踏み出す前に彼女に問いかける。


彼はさりげなく私にきいた。


「一緒に一杯どうですか?」

プロローグ2

「ほらよっ」おじさんが虎響に水のペットボトルを渡した。「しかし、日本みたいにはいかないねー」ちょっと嫌気のある顔で言った。「普通なら自動販売機で一人で買えるのに。わざわざ水ぐらいで店に行くのはめんどいことだ」おじさんは虎響のそばの席に腰を下ろした。


虎響は自分の手にあるペットボトルのラベルをじっと見つめながら、キャップを外した。それからボトルが空になるのに時間はかからなかった。虎響がぐいぐい飲むのを見て、おじさんは驚いた顔を見せてくれた。彼は昨日の夜、病院から出てからB2ゲートに着くまでには何も飲んではいなかった。それにまして、空港に着くまでのバスのせいで滝のように汗をかいていた。飲んでいる水は体のあらゆる細胞を生きがいらせているような感じだった。


「よくあんなに飲むな」おじさんが呟く。おじさんはすぐに暇になったそうでスマホを出して、日本チャンネルのニュースを見始めた。目を横にすると、ニュースはあの事件のことだと見えた。「どうしてわざわざアテネまで来て殺しをするのかな。もうこの世界は狂ってる。響治や美鈴が殺されてもううんざりだ」思わず彼は小声で口に出していた。そのすぐ後、虎響にごめんと誤った。


おじさんは虎響の実のおじさんだったのだ。虎響の父、響治の弟なのに彼は家族の死を悲しむ気配はなかった。前に父から聞いたことだったが、高校時代にはかれと父はとても仲が良かったそうだ。ところが、年上の父が高校を卒業し大学へと進学すると、おじさんは家族ともめ事をすることになった。はじめは小さい争いばかりで生活が不愉快になるだけだったが、月日が流れるうちにもめ事は大きく成長していった。やがて家族の仲が悪化しすぎておじさんが家出をしたらしい。あの時、父はそんなに気にしてはなかったとは言ったが、後で連絡を取るべきだったと後悔をしていた。それ以来、おじさんと父は二十五年後の今までには会うことはなかった。おじさんがどうしてもめ事を始めたのかは、伝えてくれなかった。


虎響は自分の家族を亡くして悲しんでいるのかわからなかったが、おじさんのことがうらやましかった。そんなにすごい被害が起きても、感情を顔には出さなく平然と生きれるところがうらやましく、尊く思った。自分も感情は出してはいなかったが、逆に表情が無になっていた。それを自覚していても、何をどうすればわからなかった。だから今のところは、おじさんの話を聞き、言われるとおりにに動いた。


「大丈夫。俺は丈夫だから、事件のこと話ていいよ」虎響は優しくて強く言おうとしたが、かすかな声が出てきた。
「そうか。俺も事件のことで頭がいっぱいだ。頭を整理する必要がある」と、飛行機が着陸する姿を遠い目で見ながら言った。「三日前だったよな、俺とお前と家族がパルテノン神殿まで登っていったのは」小さく頷いた。虎響はもう三日間がたつのが実感できてはいなかった。「確か、はじめはみんなでてっぺんまで行ったが、俺とお前がトイレに行ったんだよな。その最中事件は起きて、俺たちが戻ってきたら死体が六体」さすがに言い過ぎたと思ったのか、おじさんはこっちを向き、表情が変わってないことを確認し、また語り始めた。「宮松家が四人、そして殺人を犯したと思われている二人の日本人。武器はピストルの44マグナム。これどう考えてもおかしいだろ。どうしてわざわざ日本から飛んできて、殺害しなくてならないんだ。普通なら日本から帰ってくるのを待つか、ギリシャに行く前にやるじゃないか。あと俺とお前をきれいに抜いてやったのはなんてことだ。おれは、とても偶然だと思えん。だってあの二人は自殺したんだぞ、宮松家を集中的に殺害するのに宮松家のうち何人が登場するのか知る必要があるだろ。第一、みんながパルテノンに行くのが保証できん」おじさんはむかつく一方だった。「あああ、もうむかつく。頭の整理はもうやめだ」自分のペットボトルを強く握りしめながら言った。


そのあと、彼はスマホをにらむようにニュースの動画を見ていた。しばらく沈黙が続いた。


確かにおじさんが言ってることはあっていた。なんで宮松家が集中的に殺されたのか、どうしてギリシャで殺害を行う必要があったのか。虎響はさっぱりわからなかった。でも、今はそんなに興味はなかった。今は早く日本へ帰りたかった、そして自分がよく見おぼえがある東北の風景が恋しくなってきた。そのためには、成田空港行の飛行機のコールを待つばかりだった。


やがてそのコールが空港中に流され、自らいやな気分になったおじさんと二十歳になったばかりの少年は元の国へと戻ろうとしていた。